その6. インターネットの仕組み

6.1 インターネットって何?

インターネットは、「ネットワークのネットワーク」と呼ばれるように、LANやWANが互いに接続して、作られたネットワークです。
しかし、ネットワーク同士をつなげるということは簡単ではありません。人間でも住んでいる国が違えば、話す言葉が違うように、コンピュータも機種が違えば通信するための言葉が違います。このため、世界中のコンピュータが通信するために共通の言葉(プロトコル)が作られました。それが、「TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)」というものです。この共通の言葉を互いに使うことで、異なるコンピュータが接続され、情報をやりとりすることが出来るようになりました。
このように、インターネットとは「TCP/IPを使って世界中のコンピュータを相互に接続した巨大なネットワーク」と言い換えることが出来ます。
TCP/IPの詳細についてはここでは触れませんが、興味のある人は図書館やインターネットで調べてみましょう。

博士 ここまでの説明を読んで、少しおかしいと思った人もいるかと思います。「インターネットってホームページのことでしょ?」と、思った人はいませんでしたか?実は日本でインターネットが普及する時に、用語の使用法で混乱があり、そのまま普及してしまいました。簡単に用語の解説をしておきます。

WWW(World Wide Web)

HTMLという言語で作られた文書システム。ハイパーリンクという仕組みを使って、画像や他の文書などの位置情報を指し示すことが出来る。現在のインターネット上でもっとも普及しているサービスです。

Webページ

WWWシステムを使ってインターネットで公開されている文書のこと。Webページを管理、配信するインターネット上のコンピュータのことを、Webサーバと呼んでいます。

ホームページ

Webページを表示するプログラム(Webブラウザ、単にブラウザと言うこともある)が、起動して一番最初に表示されるページのこと。現在はWebページ全体のことをホームページと呼んでいますが、これは間違いです。


6.2 データが届く長い道のり

インターネットが「ネットワークのネットワーク」だということは説明しました。では、そのネットワークの中では、どのようなやりとりが行われているのでしょうか?ここでは、インターネットでのデータの流れを少し見てみましょう。

ネットワークのネットワークを見てみる

まずは下の図を見て下さい。

tracertの結果

なにやら数字がたくさん並んでいますが、これはあるコンピュータからWebページまで、どういう経路でデータが届くかを表しています。左端に1から14の数字がありますが、これが途中のネットワークの個数を表します。(ただし、最初と最後は目的地のWebページなので、個数は1つ少ない13個のネットワークを通過したことになります。)
このように、それぞれ別の場所にあるネットワークが、互いに協力し合ってデータをやりとりすることで、インターネットが成り立っていることが分かると思います。

データはどうやって送っているのか?

インターネットが互いに協力し合って、データを送受信していることは分かりましたが、そのデータはどのようになっているのでしょうか?
コンピュータはデータを送受信する場合、「パケット」という小さな固まりに分割します。このパケットには、送信先や送信元のデータなどを付けて、ネットワークへ送り出します。これは、荷物に宛先を書いた荷札を貼って送る、小包と同じです。この小包はいくつかの配送センターを通って届け先に届きます。コンピュータネットワークでも途中いくつかのネットワーク(配送センター)を通り、パケット(小包)が届けられます。
ネットワークでのデータの流れがイメージできたでしょうか?

6.3 インターネットについて

インターネットには、たくさんの便利なサービスがあります。それらの簡単な紹介と共に、いくつかの注意する点も紹介します。

インターネットでの便利なサービス

インターネットを使って出来ることはたくさんあります。ここではいくつかを紹介しましょう。

WWW

WWWについてはすでに説明しました。現在はWWWのシステムを使って、いくつものサービスを使うことが出来ます。例えば、通信販売やチケットの予約、情報の検索などです。
これらのサービスは日々新しいものが考え出され、私達の生活になくてはならないもになってきています。

電子メール

コンピュータネットワークを通じて文字情報をやりとりするサービス。
以前は文字のみしか送れなかったが、現在は画像やその他のデータも送れるようになっています。

FTP(File Transfer Protocol)

インターネットでファイルをやりとりするための仕組み。

上で紹介したのは、インターネットで利用できるサービスのいくつかの例です。今も毎日新しい技術やサービスが、続々考え出されています。
そこでは、良いサービスや斬新なソフトウェアを作り出せば、世界中に普及する可能性があります。「インターネットには、国境がない」と言われるのはこのためです。
しかし、この便利なインターネットに接続するためには、コンピュータと接続回線が必要になります。これらの設備は、世界中のほんの一握りの人たちしか持っていません。世界の大多数の人たちは、今もコンピュータも電話もない生活をしているのです。
世界中の人たちが、より簡単にコンピュータやインターネットを使えるようにするためにはどうすればいいかを、皆さんも一度考えてみて下さい。

6.4 インターネットを使う上での注意点

これまではインターネットの仕組みや利点を紹介してきました。しかし、全ての物事で良い面が有れば悪い面があるように、それはインターネットにも当てはまります。ここでは、インターネットを使う上で注意するべき事を簡単に紹介します。

その情報は正しい?

インターネットでは誰でも自由に情報を発信できます。Webページだけでも、世界中に百億ページ以上有ると言われており、日々増え続けています。
そこには、役に立つ有用な情報もありますが、悪意を持って作成され、読む人に間違った情報や考えをを植え付けようとするページもあります。

では、そんな情報に惑わされないようにするには、どうすればいいのでしょうか?
一番重要なのは、自分の頭で考え、確認することです。また、複数のWebページを比較、検討したり、図書館で調べたり、専門の先生に相談するのも良い方法です。Webページに書いてあることを「絶対正しい」と、無条件に信用しないようにしましょう。

自分の身は自分で守りましょう

ネットワークに参加するためにはユーザ名とパスワードが必要だということは説明しました。これはインターネットに接続する時も同じです。相手の顔が見えないインターネット上では、他人があなたのユーザ名とパスワードを使って接続しても、そのユーザ名とパスワードが正しければ、あなたが接続したと見なされます。そして、その人が何か悪いことをすると、あなたの責任になってしまいます。
このように、ユーザ名とパスワードが他人に知られると大変なことになります。パスワードは他人に知られないように、しっかり管理しましょう。

インターネットを使っていると、コンピュータウィルスに遭遇することもあります。メールと一緒に送られてきたり、ダウンロードしたソフトウェアに紛れ込んでいたりと、いろいろな方法でコンピュータに入り込もうとしてきます。これらのコンピュータウィルスはウィルス対策ソフトを導入していれば、たいていは見つけ出して削除してくれます。自分がコンピュータウィルスの被害者にならないために、またウィルスをばらまく加害者にならないためにも、ぜひウィルス対策ソフトを導入しましょう。


6.5 これからのインターネットについて

これまで、ネットワークやインターネットについて、「良い面」や「悪い面」について紹介してきました。インターネットの「良い面」だけを強調して、インターネットで全てのことが可能になるという人がいます。逆に「悪い面」だけを見て、コンピュータやインターネットの可能性を無視しようとする人がいます。これはどちらも間違いです。
例えば、車のことを考えてみましょう。車が普及することで、人が遠くまで行けるようになったり、たくさんのものが運べるようになったりして、生活が便利になりました。これが「良い面」です。
しかし、車が普及することで事故が増えたり、排気ガスによる公害問題も出てきました。これが「悪い面」です。
現在、私達は車の「良い面」はより良くなるように、「悪い面」は出来るだけ少なくなるように努力しています。交通ルールやマナーを作り、事故を減らすようにしたり、排気ガスが少なくなるような技術を開発しています。
何事にも、「良い面」と「悪い面」があることを忘れないで下さい。
これは、インターネットについても同じです。「悪い面」を見て、いたずらに怖がったり、「良い面」を見て夢中になりすぎたりしないようにしましょう。ルールやマナーを守ることで、「悪い面」に触れることを減らすことが出来ます。自由な発想と創造力で「良い面」をより良くしていきましょう。

ここまで、SF-13を使ったオーロラクロック2の制御を学習してきました。私達の生活には制御や計測というのは、身近なで重要な存在です。また、インターネットを通じた制御も重要になりつつあります。これまでの学習を振り返りながら、これからの生活に制御や計測を役立てて下さい。